この度、小田和正さんの歌に合わせて写真がスライドするCMで有名な明治安田生命フォトコンテスト「マイハピネスフォトコンテスト」で金賞を受賞させていただきました。
僕自身、カメラマンなのに今回の応募作品にがっつり被写体として映っていることにクエスチョンマークが浮かびまくった人も多いかと思います。
そこで今回はそこんところの疑問を紐解くと同時に、受賞作品が出来上がるまでの経緯についてお話したいと思います。←自分で言うのもなんだけど実はなかなかドラマチックなストーリーだったんで、誰かに言いたくて仕方ない。
まず、今回の作品は我々夫婦が病院側にどうしても出産の瞬間を写真に納めさせて欲しいと無理な相談をしたことから始まります。
我々夫婦が写真家であること、僕が厄介な持病を持っていてマタニティ期間中に僕が入院していたこと、そういった生きるか死ぬかの経験を踏まえたからこそ、今回の出産という生の瞬間をどうしても捉えたい、などなどの理由をすごい勢いでぶつけまくってました(振り返って考えてみると必死すぎてかなりやばい夫婦に見えてたと思う笑)
そして病院からは何があっても絶対に出産を最優先に考えること、必ず先生の指示に従うことを条件に撮影許可を出していただくというご配慮をいただきました。
そんな経緯を経て迎えた出産当日。
朝から腹がうずくと訴える妻を車に乗せて病院へ。
ちょうど予定日であったこともあり、前日から準備していたカメラで頑張る妻のドキュメンタリーを撮りこぼすことなく撮影していました。
病院に着いて受付で母子手帳を用意するシーン
分娩室に入るシーン
お義母さんが励ましに駆け付けたシーン
陣痛がなかなか短くならないので院内をうろついて産気を誘ってみるシーン
嫁さん自身も出産ギリギリまでカメラを放そうとしない姿
子宮口がほぼ全開になって一旦僕だけ退出した時の廊下の風景
自分が印象に残るシーンは全部納めました。
そして迎えた我が子、眞太郎誕生の瞬間。
すかさず助産師さんに僕のカメラを渡して、家族写真を撮ってもらいました。
はい、これが今回の作品になるわけです。
僕自身この日の写真に感動したからコンテストに応募してみたってだけで、後のこととか細かいこと全然考えてなかったんでさあ大変。
とりあえず病院に報告&相談してみます。
以下、実際のやりとり。
○○様
この度は、お忙しいところ相談にのっていただきありがとうございます!
早速状況の共有をさせてくださいませ。
令和元年12月12日に妻の藤田美幸が藤田眞太郎を出産した直後に助産師様(もしかしたら違う職種かも知れません)に僕が分娩室に持ち込ませていただいていたカメラをお渡しして撮っていただいた写真を明治安田生命フォトコンテストに応募したところ入賞することとなりました。
今回の受賞について、助産師(?)様に撮っていただいて僕がその写真に修整補正を加えて応募したものになります(夫婦共に写真家をしております)。
出産に尽力していただいたスタッフ様、快くシャッターを押していただいた方、そして我々の全員のチーム力で果たした受賞と思っておりますので、誰の写真というよりもみんなの写真とさせていただきたいと思っております。
受賞に伴う副賞(現時点では入賞が確定しただけで、これからどの賞にするかの審査があるようです)は、後日分配を話し合って山分けというかたちにさせていただけたらと考えております。
なんてスーパー都合のいいこと書いたメールを送ってみて返事を待つことに。
以下、実際のお返事。
藤田様
この度はコンテスト入賞おめでとうございます!
お写真を拝見させていただきました。
この1枚にお子さまがお生まれになったことへの喜びや、
無事に生まれたことへの安堵、そして赤ちゃんの
元気いっぱいの産声が切り取られており、感動しました!!
私どもこそ、幸せいっぱいな藤田さまのご出産に立ち会わせて
いただけたことを、改めて感謝申し上げます。
藤田さまはみんな全員で取った受賞と言ってくださいました。
私どももうれしい限りでございますが、そのお気持ちだけいただき、
愛和病院として、副賞を分配いただくことは慎んで辞退させて
いただきます。
当院理事長も(偶然にも同じ藤田というのですが)、
ご家族さまの笑顔のためにお使いいただければ
それが一番うれしく思います、と申しておりました。
藤田さまにおかれましては、そのおつもりで
もし今後お手続きなどあれば、ご対応いただきたく、
お願い申し上げます。
ちょっと神対応すぎない?
とまあ、これが今回の作品のストーリーになるわけです。
ここから僕個人の考えなんですが
写真って本来すごく自由なものだと思ってるんです。
普通の現場なら責任を明確にするために、撮影者の名前はめっちゃ大事。
でも今回のことで一番大事なのは、あの瞬間を記録できて、それを皆で共有できたこと。
誰か一人でも欠けたら受賞には至らなかったと思うし、ほんとにチームの力・総合力がかたちになったものだと思ってます。
そう思っているからこそ、今回のコンテスト受賞者として僕の名前しか知られないというのは個人的に違和感を覚えています。
大した力も持っていない僕がこんなことをしたところでなんの意味もないかもしれませんが、せめてこのブログを見てくださっている人にだけでも、一緒に最高の出産現場を作ってくれた病院を知っていただきたいと思います。
産前、出産、出産後すべてにおいて本当に色々とよくしていただきました。
初産で不安なくせに、自分たちがやりたいことをやろうとしていいのかと迷子になりかけていた我々を
「自分達の理想の出産を目指してもいいんだよ」と力強く背中を押してくださった先生をはじめ
血の通った対応をしてくださったスタッフの皆々様、おかげさまで最高の出産ができました。
本当にありがとうございます。
今はコロナで日々の業務も一層大変になっているかと思います。
緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ油断ができない状況。
世の中がもう少し落ち着いたら
また家族で改めてご挨拶に行かせていただきたいと思っておりますので、その時はどうぞよろしくお願い致します。
それでは、どうかお互い体に気を付けて。
藤田